実際に私が税務調査の相談を受けてきた中で、『自分には関係ない』『自分のところに税務調査など来ない』と思っていた方も多いいのですが、そういった方に税務調査が入る傾向が高いように感じています。
また申告後も『もし来たらどうしよう』『申告内容は正しかったのか』『あの領収書は経費として認められるのか』など、フィードバックも何もなく不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
令和元年11月に国税庁ホームページにて「平成30事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」「平成30事務年度 法人税等の調査事績の概要 」等が公表されました。
(文言をクリックすると詳細PDFが開きます)
税務調査が行われた際の非違割合は、法人税は約7割、法人消費税は約6割という状況です。税務調査が行われる際には6〜7割の方が非違対象となるので、納税者には精神的苦痛、時間的拘束以外にも経済的負担が発生することが以下内容からも分かると思います。
税務調査は個人事業者の場合には『所得税・消費税』が同時に行われ、会社の場合には『法人税・法人消費税』が同時に行われます。
公表内容まとめ
大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人9万9千件について実地調査を実施。 そのうち、法人税の非違があった法人は7万4千件、 その申告漏れ所得金額は13,813億円、追徴税額 は1,943億円と公表されています。
実地調査件数 | 99千件 |
非違があった件数 | 74千件 |
(うち不正計算があった件数) | 21千件 |
申告漏れ所得金額 | 13,813 億円 |
(うち不正所得金額) | 2,887億円 |
調査による追徴税額 | 1,943億円 |
調査1件当たりの申告漏れ所得金額 | 13,965千円 |
不正1件当たりの不正所得金額 | 13,859千円 |
調査1件当たりの追徴税額 | 1,964千円 |
公表内容まとめ
9万5千件の実地調査を実施し、そのうち消費税の非違があった法人は5万6千件、その追徴税額は800億円と公表されています。
実地調査件数 | 95千件 |
非違があった件数 | 56千件 |
(うち不正計算があった件数) | 16千件 |
調査による追徴税額 | 800億円 |
(うち不正計算に係る追徴税額) | 233億円 |
調査1件当たりの追微税額 | 838千円 |
不正1件当たりの追微税額 | 1,448千円 |
公表内容まとめ
11万6千件の源泉徴収義務者について実地調査を実施し、源泉所得税等の非違があった源泉徴収義務者は3万6千件で、その追徴税額は370億円と公表されています。
実地調査件数 | 116千件 |
非違があった件数 | 36千件 |
(うち重加算税適用件数) | 4千件 |
調査による追徴税額 | 370億円 |
(うち追徴税額適用追徴税額) | 73億円 |
調査1件当たりの追微税額 | 319千円 |
公表内容まとめ
消費税還付申告法人のうち、6千5百件に対し実地調査を実施し消費税174億円を追徴課税しました。そのうち8百件は不正に還付金額の水増しなどを行っており、47億円を追徴課税しました。
実地調査件数 | 6,553件 |
非違があった件数 | 3,687件 |
(うち不正計算があった件数) | 829件 |
調査による追徴税額 | 17,456百万円 |
(うち不正計算に係る追徴税額) | 4,690百万円 |
公表内容まとめ
資料情報等の分析・検討を行った結果、事業を行っていると見込まれる無申告法人に対し実地調査を実施。142億円(法人税76億円、消費税66億円)を追徴課税しました。このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人に対し、法人税43億円、消費税22億円を追徴課税しました。
公表内容まとめ
企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法 人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが 見受けられます。このような海外取引法人等に対しては、国外送金等調書や租税条約 等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでいま す。
海外取引法人等に対する実地調査を1万5千件実施し、このうち、海外取引等に係る非違があったもの を4千3百件、海外取引等に係る申告漏れ所得金額を6,968億円把握しました。
公表内容まとめ
経済の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中、 国税庁では、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、国外送金等調書をはじめとした資料情報等を活用し、源泉所得税等の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しています。
非居住者や外国法人に対する工業所有権等の使用料 等や人的役務提供事業の対価などの支払について源泉所得税等の課税漏れを1千6百件把握し、94億円を追徴課税しました。
順位 | 業種目・項目 | 不正発見割合 | 不正1件当たりの不正所得金額 |
---|---|---|---|
1 | バー ・ クラブ | 70.3% | 16,286千円 |
2 | 外国料理 | 46.7% | 7,742千円 |
3 | 大衆酒場、小料理 | 46.3% | 7,975千円 |
4 | その他の飲食 | 42.7% | 10,690千円 |
5 | 自動車修理 | 29.2% | 4,401千円 |
6 | 土木工事 | 28.4% | 12,570千円 |
7 | パチンコ | 27.8% | 30,629千円 |
8 | 職別土木建築工事 | 26.9% | 11,701千円 |
9 | 一般土木建築工事 | 26.9% | 15,568千円 |
10 | 管工事 | 26.9% | 8,957 千円 |
順位 | 業種目・項目 | 不正発見割合 | 不正1件当たりの不正所得金額 |
---|---|---|---|
1 | 輸 入 | 14.8% | 43,853千円 |
2 | その他の化学工業製造 | 10.0% | 42,368千円 |
3 | 産業用電気機械器具製造 | 17.6% | 31,456千円 |
4 | パチンコ | 27.8% | 30,629千円 |
5 | その他の卸売 | 14.7% | 26,731千円 |
6 | 物品賃貸 | 16.9% | 24,418千円 |
7 | 建売、土地売買 | 22.3% | 22,568千円 |
8 | 自動車・同付属品製造 | 16.2% | 22,123千円 |
9 | 再生資源卸売 | 19.4% | 21,929千円 |
10 | 精密機械器具卸売 | 9.0% | 23,951千円 |
税務調査は個人・法人・業種・規模関わらずに入る可能性があります。
税務調査の目的は『納税者に正しい納税を促す調査』なので、逮捕や取り調べが目的ではありません。
上記は調査結果のまとめですがその他納税者が気をつけておいた方が良いことは、
『売上高が急増』『利益率が大きく変動』『利益率が業界平均と比べて低い』『特定の経費(交際費)が突出して多い』『過去に重加算税を受けた』等です。
最後になりますが『出来れば税務調査は受けたくない』という方はまずは当事務所へお気軽にご相談ください。福岡県福岡市内を中心に税務全般に関するご相談を受け付けています。