ホーム > 税務調査対策 > 税務調査の状況(法人)

税務調査の状況(法人)

個人事業主や一般企業の方で『大して稼いでないから税務調査は来ないでしょ』と思っている方は多いのではないでしょうか。

実際に私が税務調査の相談を受けてきた中で、『自分には関係ない』『自分のところに税務調査など来ない』と思っていた方も多いいのですが、そういった方に税務調査が入る傾向が高いように感じています。

また申告後も『もし来たらどうしよう』『申告内容は正しかったのか』『あの領収書は経費として認められるのか』など、フィードバックも何もなく不安を感じている人も多いのではないでしょうか。


税務調査の状況(更新日:2020年4月4日)

令和元年11月に国税庁ホームページにて「平成30事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」「平成30事務年度 法人税等の調査事績の概要 」等が公表されました。


 (文言をクリックすると詳細PDFが開きます)

税務調査が行われた際の非違割合は、法人税は約7割、法人消費税は約6割という状況です。税務調査が行われる際には6〜7割の方が非違対象となるので、納税者には精神的苦痛、時間的拘束以外にも経済的負担が発生することが以下内容からも分かると思います。
税務調査は個人事業者の場合には『所得税・消費税』が同時に行われ、会社の場合には『法人税・法人消費税』が同時に行われます。 

法人

法人税の実地調査の状況(平成30事務年度)

公表内容まとめ

大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人9万9千件について実地調査を実施。 そのうち、法人税の非違があった法人は7万4千件、 その申告漏れ所得金額は13,813億円、追徴税額 は1,943億円と公表されています。

実地調査件数99千件
非違があった件数74千件
(うち不正計算があった件数)21千件
申告漏れ所得金額13,813 億円
(うち不正所得金額)2,887億円
調査による追徴税額1,943億円
調査1件当たりの申告漏れ所得金額13,965千円
不正1件当たりの不正所得金額13,859千円
調査1件当たりの追徴税額1,964千円

法人消費税の実地調査の状況(平成30事務年度)

公表内容まとめ

9万5千件の実地調査を実施し、そのうち消費税の非違があった法人は5万6千件、その追徴税額は800億円と公表されています。


実地調査件数95千件
非違があった件数56千件
(うち不正計算があった件数)16千件
調査による追徴税額800億円
(うち不正計算に係る追徴税額) 233億円
調査1件当たりの追微税額838千円
不正1件当たりの追微税額1,448千円

源泉所得税等の実地調査の状況(平成30事務年度)

消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況(平成30事務年度)

公表内容まとめ

11万6千件の源泉徴収義務者について実地調査を実施し、源泉所得税等の非違があった源泉徴収義務者は3万6千件で、その追徴税額は370億円と公表されています。

実地調査件数 116千件
非違があった件数36千件
(うち重加算税適用件数)4千件
調査による追徴税額370億円
(うち追徴税額適用追徴税額) 73億円
調査1件当たりの追微税額319千円  

公表内容まとめ

消費税還付申告法人のうち、6千5百件に対し実地調査を実施し消費税174億円を追徴課税しました。そのうち8百件は不正に還付金額の水増しなどを行っており、47億円を追徴課税しました。

実地調査件数

6,553

非違があった件数3,687件
(うち不正計算があった件数)829件
調査による追徴税額17,456百万円
(うち不正計算に係る追徴税額) 4,690百万円

無申告法人に対する実地調査の状況(平成30事務年度)

公表内容まとめ

資料情報等の分析・検討を行った結果、事業を行っていると見込まれる無申告法人に対し実地調査を実施。142億円(法人税76億円、消費税66億円)を追徴課税しました。このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人に対し、法人税43億円、消費税22億円を追徴課税しました。

海外取引法人等に対する実地調査の状況(平成30事務年度)

公表内容まとめ

企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法 人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが 見受けられます。このような海外取引法人等に対しては、国外送金等調書や租税条約 等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでいま す。
海外取引法人等に対する実地調査を1万5千件実施し、このうち、海外取引等に係る非違があったもの を4千3百件、海外取引等に係る申告漏れ所得金額を6,968億円把握しました。
    

海外取引等に係る源泉所得税等の実地調査の状況(平成30事務年度)

公表内容まとめ

経済の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中、 国税庁では、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、国外送金等調書をはじめとした資料情報等を活用し、源泉所得税等の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しています。
非居住者や外国法人に対する工業所有権等の使用料 等や人的役務提供事業の対価などの支払について源泉所得税等の課税漏れを1千6百件把握し、94億円を追徴課税しました。

不正発見割合の高い10業種(法人税/平成30年度)

順位業種目・項目不正発見割合不正1件当たりの不正所得金額
1バー ・ クラブ 70.3%16,286千円
2外国料理46.7%  7,742千円
3大衆酒場、小料理46.3%  7,975千円
4その他の飲食42.7%10,690千円
5自動車修理29.2%  4,401千円
6土木工事 28.4% 12,570千円
7パチンコ  27.8%30,629千円
8職別土木建築工事 26.9%  11,701千円
9 一般土木建築工事26.9%  15,568千円
10 管工事26.9% 8,957 千円

不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種(法人税/平成30年度)

順位業種目・項目不正発見割合不正1件当たりの不正所得金額
1輸 入 14.8% 43,853千円
2その他の化学工業製造10.0% 42,368千円
3産業用電気機械器具製造17.6% 31,456千円
4パチンコ27.8% 30,629千円
5その他の卸売14.7%26,731千円
6物品賃貸16.9% 24,418千円
7建売、土地売買22.3% 22,568千円
8自動車・同付属品製造  16.2%22,123千円
9再生資源卸売19.4% 21,929千円
10精密機械器具卸売     9.0% 23,951千円

税務調査の対象は?

税務調査は個人・法人・業種・規模関わらずに入る可能性があります。
税務調査の目的は『納税者に正しい納税を促す調査』なので、逮捕や取り調べが目的ではありません。

上記は調査結果のまとめですがその他納税者が気をつけておいた方が良いことは、
『売上高が急増』『利益率が大きく変動』『利益率が業界平均と比べて低い』『特定の経費(交際費)が突出して多い』『過去に重加算税を受けた』等です。

最後になりますが『出来れば税務調査は受けたくない』という方はまずは当事務所へお気軽にご相談ください。福岡県福岡市内を中心に税務全般に関するご相談を受け付けています。